夜景写真家 岩崎 拓哉 ブログ

夜景写真家・フォトグラファー 岩崎 拓哉のブログ

キュレーションサイト・儲けのカラクリ!

キュレーションサイト・儲けのカラクリ!

キュレーションサイトはそもそも”メディア”ではない

ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営するキュレーションサイトの1つである医療・健康情報を扱う「WELQ」。サイトの内容が薬機法(旧薬事法)に触れる恐れがあり、著作権侵害の疑いもあるとしてWELQを含め、全キュレーションサイト(DeNAパレット)が公開停止に追い込まれた事件は皆さま既にご存じかと思います。キュレーションサイトと言えば「Naver」「Find Travel」「ギャザリー」などが有名ですが、私のサイトも数年前からこれらのサイトへの無断転載が目立ち、見つけ次第削除依頼を出してきましたが、まさにイタチごっこという状態で対応に苦慮していました。この問題は私に限らず、多くのメディア運営者が日々悩まされていることかと思います。実際にコンテンツやPV(流入)を奪われ、媒体・事業の存続に関わっている運営者もいるようです。

背景はこれぐらいにしておいて、キュレーション・まとめサイトにおける「キュレーター」とは専門知識を持たない素人の投稿者がネット上から画像や文章を無断で拾い集め、画像は基本そのままパクり、文章もそのまま載せるか、微妙に文言を書き換えて、著作権侵害の疑いをかわそうとして記事を作り上げます。オリジナルのコンテンツはほとんどなく、取材や撮影をすることも基本的に皆無で、特に旅行・お出かけ系サイトは悪質さが目立ちます。極めて悪質なケースだと画像のクレジット部分をトリミングして、あたかも自分で撮影した写真のように見せかける例もありました。

※本来のキュレーターとは博物館や美術館で展覧会やイベントの企画や運営をする職業のことを意味します。あくまで本ブログではキュレーション・まとめサイトを制作するキュレーターのことを差します。

今回の騒動によってキュレーションサイトのことを”キュレーションメディア”と表記している報道記事を見かけますが、私はオリジナルのコンテンツを持たないサイトを”メディア”として認めていません。ネット上から著作権法で保護されたコンテンツを無断でパクリ、サイト運営会社とキュレーターが”他人のふんどし”で儲けているだけにすぎません。最近、賛否両論はありますが、朝日新聞社会部の公式Twitterでもこのような発言がありました。

相手に十分取材をして、記事を書く。
そんな当たり前のプロセスが存在しないキュレーションなるネットメディアの一端が垣間見えます。
自分たちのコンテンツに愛着とか、思いとか、そんなものはないんでしょうね。
出典:朝日新聞社会部

Twitterの返信には厳しい意見も見られますが、今回の発言は個人的には強く賛同しています。自分の足で現地に出向き写真を撮影(または取材)し、景色の美しさや体感したことを記事にする。これが本来の旅行・お出かけ系メディアの正しい姿だと思います。残念ながら、他人のコンテンツを無断転載しているだけのキュレーターにはコンテンツに何ら愛着やプライドを持っていないと思います。これらのコンテンツが「ゴミ記事」と言われても仕方ありません。

キュレーションサイトの収益モデル

前置きが長くなりましたが、東証1部の大手までが参入したキュレーションサイトは結論から言えば「広告収入」で利益を得ています。かつては携帯(ガラケー)向けの有料コンテンツを利用する文化がありましたが、インターネットのコンテンツは無料が前提になっており、大手新聞社のニュースサイトなどを除けば、有料コンテンツはまず見かけません。広告の種類はアドセンスやアフィリエイトのようなクリック型・成果型が中心ですが、PVの多い大手サイトは純広告の枠を設けて、スポンサー企業と契約しているようです。そして経費としては社員の人件費、サーバなどシステムの運用費用、キュレーターへの報酬が発生します。

”メディア”を作るには大きなコストがかかる

広告収入を得るビジネスモデルという点ではキュレーションサイトも一般メディアも大差はありません。収入源はほぼ一緒です。ただし根本的に違うのが、メディアはライターや記者が取材・撮影するため、1記事あたりのコストが非常に高くなります。旅費交通費はもちろん、人件費も発生します。一般的なプロのライターに記事の執筆を依頼すると最低でも2~3万円(2000文字相当)は発生するはずです。最近はライターが撮影するケースも増えていますが、専門にカメラマンを雇うと制作コストはさらに増えます。手間暇かけて記事を作成することからメディア運営側も記事を執筆するライターや記者もコンテンツに愛着を持ち、著作権を主張するのも当然のことです。

キュレーションサイトはどうやって作るの?

では逆にキュレーションサイトはどのようにして作られているのでしょうか。個人のキュレーションサイトであれば、「WordPress」などのCMS(無料)を使って、ブログ形式で記事を作っていくことが考えられます。大手であれば独自のシステムを構築するでしょうし、スタートアップやベンチャーであればキュレーションサイトのASP(既に完成したパッケージ)を利用するようです。試しに「キュレーション 構築」と検索するとパッケージが多数出てきます。キュレーションサイトを見ているだけの人ならこのようなサービスがあること自体気付かないでしょう。私もつい最近までこのようなASPがあるとは存じませんでした。

<キュレーションサイトの導入方法(推定)>

  • 大企業:自社でシステムを開発
  • 中小企業・ベンチャー:ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)を利用
  • 個人運営:Wordpressなどの無料CMS

「キュレーション 構築」検索結果
出典:Google検索結果「キュレーション 構築」

最低賃金以下!?で執筆を請け負うキュレーター

さて、一般的なメディアに比べてキュレーションサイトが儲かる仕組みがあります。キュレーターは自社で募集する方法と、クラウドワークスやランサーズを使って募集する方法があり、いずれも一般的なプロのライターに比べてキュレーターの単価は恐ろしいほど安い単価になります。理由は極めて単純明快で、ネット上のコンテンツを無断転載、または文章の語尾などを書き換えるだけの単純作業なので、プロのライターに比べて専門性や知識が必要ありません。例えば一般的なライターが2000文字を20,000円で請け負うとなった場合、1文字あたりの単価は10円になります。ところがキュレーターの相場は2000文字で1,000円前後と言われています。キュレーションサイトによっては1記事300円程度のケースもあり、1記事に仮に1時間30分かかったとしたら、余裕で最低賃金を下回ってしまいます。驚くような低単価でありながら、これだけ記事が量産されてきたことを考えると、自宅にパソコンとネット回線さえあれば誰でも作業ができるため、内職希望者には一定のニーズがあったのかもしれません。その結果、一般的なメディアに比べて人件費を圧倒的に安く抑えられるため、とても儲かる美味しいビジネスに育ってしまったようです。

仮に100万歩譲って、キュレーターを庇うとしましょう。この単価で仕事を請けるためには、著作権者に確認をする手間も省き、画像も無断でパクらないと割に合わないと言えます。記事もゼロから書くわけにはいかないので、コピペで記事をパクリ、文末や表現を微妙に調整するしかありません。そう考えるとキュレーターよりもキュレーションサイトの運営企業側の方が責任が重いように感じます。

<記事執筆の単価(仮)>
プロのライター:1文字10円
キュレーター:1文字0.5円

なぜキュレーションサイトが上位表示されるのか?

次にこれだけキュレーションサイトが大きな問題になった要因として、検索エンジンで上位表示されていることが挙げられます。違法行為が蔓延したキュレーションサイトであっても”SEO(検索エンジン最適化)”を行うこと自体は何ら問題ありませんが(モラル面はともかく)、問題となった「WELQ」の場合は”死にたい”などのキーワードでSEO対策されていたことが社会的批判を浴びました。SEO対策には色々なテクニックがありますが、最近は被リンク数の多さよりもコンテンツの量やインデックス数が重視されており、インターンなどを利用して大量のキュレーターを抱えて記事を書かせ、サイトのボリューム量を増やすことで、一次コンテンツを持っている一般メディアよりも上位に表示されるケースが目立っています。特に規模の小さい個人メディアはキュレーションサイトに画像や文章などのコンテンツを根こそぎパクられ、検索順位も落ちてしまい、運営者はサイト運営に対する意欲を消失してしまいます。Googleも完全なパクリであれば上位表示はさせないのですが、文面を微妙にリライトすることで、オリジナルコンテンツに見せかけることができ、検索エンジンが完全ではないことを痛感させられます。

<キュレーションサイトが上位表示される要因>

  1. ニーズのあるキーワードを選定・埋め込む
  2. 圧倒的なボリューム(文章量・ページ数共に)、トラフィック
  3. オリジナルコンテンツに見せかける
  4. ウェブマスター向けガイドラインを守る

今後はキュレーションサイトが儲からない時代に

DeNAの事件があってからは他社のキュレーションサイトも記事の削除・非公開に乗り出しています。リクルートの「ギャザリー」やサイバーエージェントの「スポットライト」など他の大手サイトも一部の記事を非公開にしているほどです。問題が表面化する前から情報の信憑性や著作権侵害について懸念材料となっており、いつかは大きな問題になると誰もが予想していたことでしょう。記事の削除が相次いでいることから、これまで自らコンテンツを作り上げてきたメディア運営者(企業)の苦労がようやく報われる時が来そうです。今後、検索エンジンのアップデートでキュレーションサイトの順位を下げるような方針が取られることを願いたいです。次回以降、本ブログではキュレーションサイトへの無断転載の対処法まで詳しく取り上げたいと思います。

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