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感動夜景

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光跡夜景の撮影テクニック

光跡夜景と言えば、車や電車、船などの光を長時間露光で写し込む撮影スタイル。シャッター速度を長めに設定し、あとはじっくりと車や船が来るタイミングを待つだけでインパクトのある綺麗な夜景写真が撮れます。

光跡夜景の作例

最近は夜景撮影スタイルの中で”光跡夜景”が一つのトレンドになっているようです。車のライトや屋形船のライトアップなどを長時間露光で写し込むことで、動きのある表現ができるのが特徴です。光跡はロケーションの選定が重要で、夜景スポットでかつ、車や船の一定の通行量のある場所を探す必要があります。まずは光跡の写っている写真、写っていない写真の2枚を比較してみたいと思います。

(1)光跡の写り込みを比較

光跡の写らない写真(川崎・浮島町)
[ 光跡なし]
光跡の写る夜景写真(川崎・浮島町)
[ 光跡あり]
川崎市・浮島町で撮影した工場夜景。真っ暗な道路に車の光跡が入ることで、静けさの中にも動きが感じられる作品となった。車通りが少ない場所のため、車の通行をずっと待ち続けた。前方から車が来る場合はヘッドライトの白い光が写り、後方から車が来る場合はテールランプの赤い光が写る。
[ カメラ ] CANON EOS 5D Mark2 [ レンズ ] EF17-40mm F4L USM [ 焦点距離 ] 17mm [ 撮影モード ] マニュアル露出 [ シャッター ] 10秒 [ 絞り値 ] F9.0 [ ISO感度 ] 400 [ WB ] 色温度(2500K) [ AFモード ] マニュアル

(2)ヘッドライトとテールランプの灯りの違い

ヘッドライトの光跡が写った夜景写真
[ ヘッドライトのみ ]
ヘッドライトとテールランプの光跡が写った夜景写真
[ ヘッドライト+テールランプ ]
光跡夜景を撮りやすい橋の上から撮影。通行量が比較的多い道路でも、信号のタイミングによって車の流れが大きく変わる。住宅街の灯りとヘッドライトの光跡だけだと少々寂しい感じがするが、テールランプの光跡が加わることで、彩りのある夜景写真となった。
[ カメラ ] CANON EOS 5D Mark2 [ レンズ ] EF17-40mm F4L USM [ 焦点距離 ] 29mm [ 撮影モード ] マニュアル露出 [ シャッター ] 20秒 [ 絞り値 ] F11.0 [ ISO感度 ] 200 [ WB ] 色温度(4200K) [ AFモード ] マニュアル

(3)ちょっと個性的な光跡夜景

トラックの写り込んでいない夜景
[ 写り込みなし ]
照らされたトラックが写り込んだ光跡夜景
[ 写り込みあり ]
川崎の千鳥町で工場夜景と光跡を撮影しようと待機していたところ、トラックが後方から向かってきたため、タイミングを狙って撮影。通常ならトラックのテールランプのみが写り込むはずだが、トラックが街灯に照らされていたため、コンテナ部分が写り込んでしまった。説明が無いと多くの人はトラックの写り込みであることに気付かないだろう。
[ カメラ ] CANON EOS 5D Mark2 [ レンズ ] EF16-35mm F2.8L 2 USM [ 焦点距離 ] 29mm [ 撮影モード ] マニュアル露出 [ シャッター ] 15秒 [ 絞り値 ] F9.0 [ ISO感度 ] 200 [ WB ] 白色蛍光灯 [ AFモード ] マニュアル

カメラの設定は「マニュアル露出」か「シャッター速度優先」がお勧め

ここまでいくつか作例を見てきましたが、実際に光跡夜景を撮る場合、どのような設定が良いのでしょうか。基本的には光跡夜景は長時間露光が必要になるため、シャッター速度を長めに固定する必要があります。そのため、「マニュアル露出」に設定して、シャッター速度を固定すると良いでしょう。もし、露出や他の設定に自信がない場合は「シャッター速度優先」でも良いでしょう。シャッター速度は撮影する場所や条件にもよりますが、8~30秒ぐらいが目安です。ISO感度は低めの100~400ぐらいのやや低めの設定が理想です。もちろん三脚は必須です。

シャッター速度の設定画面
画面は「シャッター速度優先(Tv)」の設定例

シャッターの開放時間による光跡の変化

最後に同じ撮影場所でシャッターの開放時間を変化させた場合、どのように光跡が変化するか検証してみました。

シャッター:1/4秒 シャッター:2秒 シャッター:15秒
[ シャッター:1/4秒 ]
シャッター速度が短いと車の輪郭が写ってしまい、光跡夜景とは言えない作品になってしまった。この作例なら車は写らない方が良いかも。
[ シャッター:2秒 ]
左の写真よりは光跡らしくなったが、光跡が途切れ途切れになってしまい、やや中途半端な感じがする。もう少しシャッターを長く開けたい。
[ シャッター:15秒 ]
車の光跡がキレイに繋がり、まさに「光跡夜景」らしい作例となった。通行量の少ない側道にも光跡が写り込むよう、タイミングを狙った。

今回の作例撮りは道路が見下ろせる場所に三脚をしっかり固定し、フェンスが高い場所のため三脚の脚を最大まで伸ばしています。場所によっては大型三脚が必要になることもあるため、脚立を用意しておくとセッティングが楽になるでしょう。

光跡夜景のセッティング風景
道路を見下ろせる場所に三脚を設置

光跡夜景は基本的に車が通行する道路沿いや道路が見下ろせる場所であれば、どこでも撮れます。ただ、歩行者が多い場所や足場が不安定な場所は避けた方が良いでしょう。橋や高台の上から撮影する場合は、カメラや機材が落ちないようにしっかり固定することも重要です。

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