1枚の写真だけでは決して撮れない広がりある風景。
複数の夜景写真を合成してパノラマ写真を作成するコツを撮影時のセッティングから画像の合成まで詳しく解説します。
パノラマ撮影を行う上で、最も重要となる準備が”三脚の水平を出す”ということです。 つまり、雲台を取り付ける部分の土台自体を水平にしておく必要があります。土台の部分の水平がずれたまま雲台側で水平を出そうとすると 撮影する向きを変えた時に水平がずれてしまいます。
三脚の水平を出す上で重要なコツは以下の3点です。
ちなみにレベラーは国内では主に以下の2製品が発売されています。私はマンフロット製を使っていますが、将来的にサブの三脚にベルボン製のプレシジョンレベラーを導入する予定です。
続いて、三脚の設置と水平出しが終わったらカメラ側の設定に入ります。撮影時は基本的にマニュアルモードに設定し、 ISOやホワイトバランスなども含め全ての設定を固定することが重要です。例えばISOやホワイトバランスをAUTOにしてしまった場合、 1枚ごとに色合いなどが変わってしまい、合成が出来なくなることも。なので、基本的にマニュアル操作を覚えておくことが重要になります。
まずは撮影に入る前に、撮影する向きを決めることが重要です。目安として120度以上視界が開けた場所で、なるべく時計回り(左→右)で撮影を始めます。時計回りを勧める理由は撮影後に画像を確認しやすいからです。多くの写真を撮った場合に反時計回りだと、どの写真がパノラマ用か判断がつかなくなります。ただし、以下のような理由の場合は反時計回りでもやむを得ないでしょう。
パノラマ夜景を撮る時はなるべく手すりや展望ポイントも写し込んでおくと、その場の雰囲気が伝わりやすく臨場感の増した写真が撮れます。
実際にパノラマ写真を撮っていく時、1枚ずつ向きを変えながら撮影することになりますが、必ずつなぎ目に余裕を持たせて撮影することが重要です。写真は周辺にかけて歪みが出てしまい、歪みの部分の重なりがギリギリになってしまうと合成ソフトでも合成ができなくなってしまいます。そのため、できれば左右の20%ぐらいは被写体がかぶるようにしておくと安心でしょう。なお、手すりを撮る時は歪みが目立ちやすくなるため、下記の写真のようになるべく両端の1枚にだけ写り込むようにするとつなぎ目を気にすることなく綺麗に撮れます。
夜景が最も美しいトワイライトタイム。日没後から20分前後のわずかな時間にしか見れない貴重な景色です。その瞬間をパノラマ写真にするためには、ちょっとしたコツが必要です。完全に日が落ちた後の撮影と基本的には一緒ですが、撮影する度にタイムラグが空いてしまうと結合時に切れ目の部分で明暗差が出てしまうため、ISO感度を高めに設定したり、1枚当たりのシャッター速度を短くなるようにするのがコツです。
ここまでパノラマ撮影テクニックについて解説しましたが、実際に撮影した写真を合成してみましょう。合成ソフトは有名なものからカメラに付属のソフトまで様々あります。そこで代表的なソフトウェアと合成後のイメージを紹介したいと思います。
パノラマ画像の合成に特化した専用のソフトウェア。自動設定でほとんどのパノラマ合成ができてしまう。合成の精度も高く、初心者からプロフェッショナルまであらゆるユーザーにお勧めできるが、2014年9月時点ではバージョン5の在庫がわずかに残っている程度。(※バージョン6が無料公開されているようです)
多くの写真家やデザイナーに愛用されている画像加工・写真レタッチソフト。「Photomarge」と呼ばれる画像の合成機能がついており、レイアウトも自動設定から遠近法、球面方まで多様な設定が用意されている。PhotoShopの知識がある人にはおすすめ。
CANONのEOSシリーズにバンドルされているソフトウェア。撮影した写真を自動で手軽に合成できるのが魅力。付属ソフトのため、無料で使えます。合成方法は「横ならび」「縦ならび」「タイル」「360°」から選択できるようです。
パノラマ夜景は撮影から合成まで難易度が高いジャンルになりますが、以前に比べればソフトウェアの性能も進化しており、パノラマ合成に関しては飛躍的にスムーズにできるようになりました。マニュアル撮影をマスターした頃にチャレンジしてみるのがおすすめです。
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