一般的な夜景撮影ではストロボを使うことはありません。ただ、夜景スポットで光源の無い場所を撮影したり、人物を撮影する時には活躍します。ここではストロボの基本的な知識を取り上げたいと思います。
デジタルカメラのほとんどの機種にはストロボが内蔵されており、最近ではスマートフォンですらストロボの搭載された機種が一般的になっています。夜景撮影でストロボを使う頻度は少ないのですが、人物撮影などで使う場合もあるので、最低限の知識は持っておきたいところです。
ストロボの性能を示す一つの指標として、ガイドナンバーと呼ばれる数値があります。ガイドナンバーを表す式は以下の通りです。
■ガイドナンバー(GN) = ストロボの到達距離(m) × 絞り値(F値)
※ISO感度は「100」で考える
例えば、以下のような条件でストロボを発光した場合、最大で届く距離は何mになるでしょうか。
計算したところ、以下のようになりました。ISO感度が100であれば7.5mになりますが、
感度が高くなると到達距離は伸びます。
最近のデジタルカメラは内蔵ストロボを装備している機種が多いにもかかわらず、外部ストロボを発売しているメーカーがほとんどです。わざわざ外部ストロボを発売している理由を内蔵ストロボとの違いから見ていきたいと思います。
写真を見ての通り、内蔵ストロボは発光部分が小さく、ガイドナンバーの数値にも影響してきます。一般的なデジタル一眼レフの内蔵ストロボはガイドナンバー値が12前後であることが多く、外部ストロボに比べると4~5倍の差が出てきます。
内蔵ストロボと外部ストロボの違いは明るさだけではありません。機能的に大きな違いとして、バウンス撮影が出来るか出来ないかが異なります。バウンス撮影とは天井などに光を当てて反射させる撮影方法で、被写体に直接光をあてない分、影を低減させたりやわらかい光を浴びせることができます。夜景撮影ではあまり関係ありませんが、知識として知っておくと良いでしょう。
最近のデジタルカメラの内蔵ストロボは高さが十分にあり、滅多に起こりませんが、以前の機種では内蔵ストロボを使用時にケラレが発生するケースがよく見られました。2枚の写真を比較すると真ん中の下あたりに黒い影が写り込んでいるのがわかるはずです。
ケラレあり(写真の真ん中の下あたり) | ケラレなし |
実はデジタルカメラによっては内蔵ストロボが搭載されていない機種もあり、CANONの場合はフルサイズセンサー搭載機は内蔵ストロボが省略されているようです。エントリークラスのデジタル一眼レフは内蔵ストロボを搭載しており、フルサイズ機はストロボが必須となる点で荷物も増えてしまいます。ミラーレス機も本体を小型化するために、あえて小型の外部ストロボを別売やセットにしているケースも。
最後にストロボを活用した夜景写真の作例を紹介したいと思います。ストロボが最も必要となるシーンはやはり人物撮影。街灯で十分に照らされている場所であれば、街灯の明かりだけでも綺麗に撮れることもありますが、灯りが弱い場所だとストロボは必須です。左の写真が”ストロボ発光あり”で右の写真が”ストロボ発光なし”となります。人物の作例はイルミネーションの光だけでは光量が足りず、ストロボで明るさを補いました。下の夜景スポットの写真は展望台の雰囲気を写し出すため、ストロボを発光しています。
[ ストロボ発光あり ] |
[ ストロボ発光なし ] |
[ ストロボ発光あり ] |
[ ストロボ発光なし ] |
ストロボ発光時、ホワイトバランスによって光の色合いが大きく変わります。夜景撮影でよく使われる白色蛍光灯や白熱電球は青みが強くなってしまうので、ストロボ用の設定か太陽光などがお勧めです。
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